大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

戎崎定点調査のカイメンとホヤ類

カイメン類

Mycale nullarosette 和名なし

花岡さんが見つけてくれました。緑色の饅頭型をしたカイメンで、触るととても柔らかく弾力があります。

OKKメーリングリストでも紹介しましたが、この種の詳細については以下のページをご参照ください。

Mycale (Carmia) nullarosette | Porifera


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写真 Mycale nullarosette

 

ホヤ類

1.Sydneioides japonense 和名なし

共同外皮の中に個虫が配列する群体性ホヤの仲間です。共同外皮の表層に多数の砂粒を埋蔵するため砂粒で被われた印象があります(写真1)。個虫は胸部と腹部そして後腹部の三部で出来ていますが腹部と後腹部の間が狭まっています(写真2)。これはSydneioides属の特徴のひとつです。この種の特徴としては、鰓孔列が11~13あること、下から数えて5~6列目の鰓孔列のところに肛門が開くことなどをあげることが出来ます。

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写真1 群体外観             写真2 個虫

2. シモフリボヤ Aplidium yamazii

共同外皮の中に個虫が不規則に並ぶ群体性ホヤの仲間です(写真1)。共同外皮は柔らかく(豊国崎で出現したサガミシモフリボヤより柔らかな印象です)透明で、異物を付着しません。個虫は胸部と腹部そして後腹部の三部で出来ています(写真2)。この属の腹部と後腹部の間は前種のように狭まることはありません。この種の特徴は、円筒状に突き出た出水口のところに舌状突起がないこと(写真2)、胃の縦褶が10くらいであること、鰓孔列が5列であることなどです。

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写真1 群体外観             写真2 個虫(スケールは1mm)

3. ミハエルボヤ Pyura sacciformis

山西さんが採集された大型のホヤです。前に掲げた二種のような群体性のホヤではなく、単体性のホヤです(写真1)。赤紫色をしています。写真1ではわかりにくいですが、入水口や出水口の周りには指状の突起が複数あってこの種の特徴のひとつとなっています。この他の特徴として、鰓や筋膜体など体の各所に多数の角質骨片(写真2)を含むことをあげることが出来ます。角質骨片は個体によって含まれる場所が異なりますが、この個体では内柱の部分にたくさんありました。

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写真1 外観               写真2 角質骨片
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