現地でわからなかった小型のカニ(甲幅5mm程度)について、持ち帰って同定しました。ヤハズマメガニダマシ Sakaina incisa Sakai, 1969 でした。本州太平洋側で記録があるマメガニダマシ属のうち、マメガニダマシ S. asiatica (Sakai, 1933) もよく似ていますが、前側縁の縁に沿って生えている短毛列が眼窩外縁に達していないことから、ヤハズマメガニダマシとみなしました。オスの腹部節の形態も決め手になるのですが、得られた個体はメスでした。日本産蟹類(酒井, 1976)によれば、自由生活性で浅海または汀線のテングサや石灰藻に着生しているとあります。
(石田)