大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

城ケ崎のエンドウモク

昨日は、観察中に雨が降らなくてよかったですね。

当日出現したエンドウモク Sargassum yendoi ですが、当研究会の定点で記録はあるものの、打上げで、自生が確認されたのは初めてです。

藻長は40cm余りで、上部が流失して下部だけになっていました。本種の特徴は主枝が扁平で平面的に分枝することと、気胞が大型で円頭であることです。なお、打上げられた大型個体の形状は下記に載っています。

打ち上げエンドウモク - 大阪湾海岸生物研究会のブログ

生えていたのは向かって右側の岩礁の先端付近で、10株以上が生育していました。仮根部の直径が約4cmで、着生してから数年は経過していると推定されます。私は今までこの場所はほとんど観察してこなかったことから、生えていたのに記録されなかったものと思われます。今後はちゃんと観察範囲に含めたいと思います。(有山)

エンドウモク(全体)

エンドウモク(拡大)

 

小島で見つかったミツクチキリオレ科の貝Bouchetriphora属について

小島で見つかったミツクチキリオレ科の貝を同定してみました。全体像は写真1のような貝です。まず注目したのは殻の先端にある原殻の螺糸の数です。写真2に見るように、各層の螺糸は1本です。これまで大阪湾海岸生物研究会の調査ではミツクチキリオレ科の貝は6種が記録されていますが(大阪湾海岸生物研究会 2007、2018、2023参照)、この中のコンボウキリオレは原殻が卵黄栄養型なので別として、標本の様なプランクトン栄養型の原殻を持つ種で螺糸が1本なのはホソアラレキリオレ、サツマキリオレ、クリイロキリオレの3種になります。標本がこれら3種のどれかに該当するかどうかですが、それを調べるため、さらに歯舌を観察してみました。写真4をごらんください。幅が広い中央歯とその横に同じく幅広の側歯が左右に1個、さらにその外側に複数個の縁歯があるのがわかります。ただ、顕微鏡の倍率に限界があって、あまりはっきりとした写真を用意できませんでしたので模式図を用意しました。写真4横の5をご覧ください。その構造がよくわかると思います。

1.全体像(scale:1mm)(左)           2.原殻(scale:0.5mm) (中)           3.殻蓋(右)
     4.歯舌(scale: 25μm)        5.歯舌模式図(Marshall, 1983より)

Marshall(1983)によると、このような形の歯舌はBouchetriphora属の特徴になります。また殻蓋の螺旋が5巻以上あるのもこの属の特徴ですが、標本の殻蓋の螺旋も少なくとも5巻が見て取れます(写真3)。したがってこれらの特徴から、標本はBouchetriphora属の種であると考えてよさそうです。サツマキリオレとクリイロキリオレは歯舌の構造が全く異なり、別属に分類されているので候補から外れます。Bouchetriphora属は世界から6種が知られますが(MolluscaBase)、そのうち4種が日本産種です(奥谷編著 2017)。日本産の種の中では、標本のように一様に褐色で顆粒が淡い色になる種は、大阪湾でも過去に記録があるホソアラレキリオレしかありません。したがって、この標本はOKKメーリングリストでは属までの同定にしましたが、改めてホソアラレキリオレに訂正します。(大谷)

文献

Marshall(1983)A revision of the recent Triphoridae of southern Australia (Mollusca: Gastropoda). Records of Australian Museum, supple. 2: 1-119.

MolluscaBase https://www.molluscabase.org/aphia.php?p=taxlist

奥谷喬司編著(2017)日本近海産貝類図鑑 第二版. 東海大学出版会,東京:1382pp.

大阪湾海岸生物研究会(2007)大阪湾南東部の岩礁海岸生物相-2001~2005年の調査結果.自然誌研究,3 (6): 93-106.

大阪湾海岸生物研究会(2018)大阪湾南東部の岩礁海岸生物相-2010~2015年の調査結果.自然誌研究,4 (2): 17-38.

大阪湾海岸生物研究会(2023)大阪湾南東部の岩礁海岸生物相-2016~2020年の調査結果.自然誌研究,4 (6): 157-179.

城ヶ崎定点調査(6月14日)のご案内

今年度最後の定点調査は城ヶ崎です。奮ってご参加ください。

 実施日:6月14日(日)
 調査地:和歌山市加太 城ヶ崎
 集合(海岸生物研究会):10時00分、南海加太線「加太」駅改札前。南海本線「なんば」8:15発特急サザンに乗り和歌山市駅で加太線に乗り換えると加太駅9:48着。城ヶ崎まで徒歩約2km。
 干潮:12:05, -7cm(淡輪)
 解散:現地で14時30分頃。
 持ち物:観察・採集用具(ルーペ、野帳など)、弁当、飲み物、軍手、タオル。
 申込み:事前の申込みは不要です。
 参加対象:本会会員と同伴者
 その他:雨天中止です。当日の朝、実施かどうかはっきりしないときは、午前6時以降に本会のブログで確認してください。

 定点調査についてはこちらをご覧ください。
 https://www.omnh.jp/iso/okk/page03.html
 ※チェックリストは2026年版に更新されています。

小島定点調査(5月31日)のご案内

 第3回目の定点調査は岬町小島です。奮ってご参加ください。
 

 実施日:5月31日(日)
 集合:10時00分、南海電鉄「みさき公園」駅みさき公園出口改札前。南海本線「なんば」9時10分発の特急サザンに乗るとみさき公園9時57分着。駅から現地まで会員の自家用車に乗り合わせて移動します。
 干潮:12:53, 14cm
 解散:現地で15時頃。
 持ち物:観察・採集用具(ルーペ、野帳など)、弁当、飲み物、軍手、タオル。
 申込み:事前の申込みは不要です。
 参加対象:本会会員と同伴者
 その他:当日の朝、実施かどうかはっきりしないときは、午前6時以降に本会のブログで確認してください:https://osakawan.hatenablog.com

 

 定点調査についてはこちらをご覧ください。
 https://www.omnh.jp/iso/okk/page03.html