大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

豊国崎のセムシマドアキガイ

豊国崎の定点で有山さんが転石下から採集された笠形の貝を持ち帰って調べたところ、セムシマドアキガイRimula cumingii A. Adams, 1853でした。殻の前側、正中線の肋上にしずく型の孔が開きます。「干潟の絶滅危惧動物図鑑」(日本ベントス学会編, 2012)では「内湾湾口部の平坦な礫干潟において砂に埋もれた転石下の還元環境に見られる」とあり、生息環境は概ね一致します。定点調査では初めての記録です。大阪湾内では対岸の由良で記録されており、兵庫県レッドリストではランクAとなっています。

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セムシマドアキガイ

(石田)

豊国崎のメリタヨコエビ

昨日の観察会はほとんど雨が降らずに、よかったですね。

「まとめ」の結果の補足・追加です。

・ウミグモ類はシマウミグモでした。

・ハバヒロコツブムシはこの種とヒラタウミセミが混在していました。

テッポウエビ属も2種が混ざっていました。詳細は下記をご覧ください。

https://omnh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1234&file_id=22&file_no=2

・メリタヨコエビ属は3種が混在していました。フトメリタヨコエビMelita rylovae、ナガタメリタヨコエビM. nagataiと未記載種(写真参照)です。3番目の種類は白黒のツートンカラーでよく目立ちますが、実はそっくりな種が主に潮下帯に生息しています。両種は第3尾節外肢の節数、前者は1節、後者は2節で区別できます。大きさは両種とも約6mmです。(有山)

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メリタヨコエビ属の未記載種(オス)

 

豊国崎定点調査(6/26)のご案内

大阪府に出されていた緊急事態宣言が解除されましたので、6月26日(土)の定点調査は実施します。ただし感染リスクを少しでも減らすため、今回は自家用車の乗り合いが必要になる戎崎ではなく、豊国崎に変更します。また、雨天の場合は翌27日(日)に順延します。

 

 実施日:6月26日(土)※雨天時は翌27日(日)に順延
 調査地:岬町 豊国崎
 集合(指定電車):11時20分、南海多奈川線多奈川駅前。難波からは10:15発特急サザンに乗り、みさき公園駅多奈川行きに乗換えて多奈川駅11:15着。駅から現地まで徒歩で移動します(約2.2km、30分)。車で来られる方は産土神社御旅所の駐車場(神輿台のある駐車場)に直接おいでください。
 干潮:14時01分、-9cm(淡輪)
 解散:16時頃、現地で
 持ち物:観察・採集用具(ルーペ、野帳など)、弁当、飲み物、軍手、タオル、マスク。
 申込み:事前の申込みは不要です。
 参加対象:本会会員と同伴者
 その他:雨天の場合は翌27日(日)に順延します。実施の有無は26日(土)午前7時に本会のブログ(https://osakawan.hatenablog.com)に掲載しますので確認してください。順延の場合の集合場所・時間は26日と同じです。
     車で来られる方は、駐車料金を研究会で負担します。領収証と引き換えに現地で精算します(御旅所の駐車料金は500円です)。
     産土神社御旅所駐車場の位置:https://goo.gl/maps/5MgFLhQk3ThuGj6r9

 定点調査についてはこちらをご覧ください。
 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/iso/okk/page03.html

○当日または過去2週間以内に発熱、風邪のような症状、味覚・嗅覚異常のある方は参加をご遠慮ください。感染または感染の疑いのある方と過去2週間以内に濃厚な接触があった方も同様です。
○往復の移動時には、各自で必要な感染防止対策を取ってください(マスク着用など)。
○現地ではソーシャルディスタンスの確保などに努めてください。お互いに近づく必要のある時はマスクの着用もお願いします。
○感染拡大などの状況により、政府や自治体から再度移動やイベント自粛の要請が出された場合は中止とします。中止の場合はメーリングリストとブログで告知します。

城ケ崎のコケムシ

コブヒラコケムシ  Schizoporella japonica

 黄白色の色彩のコケムシで、腹壁には全体にわたって偽孔と呼ばれる孔状組織が分布しています。また、虫室口の下縁にはU字型の湾入があって、多くの場合、その片側または両側に鳥頭体があります(図1、図2)。この種は長い間Schizoporella unicornisという種名で知られて来ましたが、Dick et al. (2005) によって日本の標本は明らかにその種とは異なることが明らかにされ、新たにS. japonica命名されました。しかし、城ケ崎の標本がS. unicornisである可能性はないのでしょうか。そこでもう少し詳しく調べてみました。城ケ崎の標本では、例えば虫室口下縁にある湾入の幅(図2- a)は100μmと広いこと(S. unicornisは80μm:Ryland et al. 2014)や卵室全面に孔があること(図3)(S. unicornisにはないか、あっても縁辺部のみ:Tompsett et al. 2009)などの特徴があります。これらの特徴はS. unicornisのものではなく、城ケ崎の標本はS. japonicaであることを示しています。

本種の分布域は中国沿岸から日本全土とされていて(Dick et al. 2005)、大西洋東岸に分布する(Tompsett et al. 2009)S. unicornisとは分布域も異なっています。特筆すべきは、S. japonicaは近年北米西岸やイギリスなどにも分布することが知られ、そこでは外来種と考えられていることです(Dick et al. 2005、Ryland et al. 2014)。どうやって極東からそれらの地へ侵入したかですが、北米西岸へは日本から養殖のために持ち込んだマガキとともに、イギリスへは船舶に付着して侵入したと考えられています。

 文献:

Dick, MH, Grischenko, AV and SF Mawatari (2005) Intertidal Bryozoa (Cheilostomata) of Ketchikan, Alaska. Journal of Natural History, 39(43): 3687–3784.

Ryland, JS, Holt, R, Loxton, J, Jone, MES and JS, Porter (2014) First occurrence of the non-native bryozoan Schizoporella japonica Ortmann (1890) in Western Europe.  Zootaxa 3780 (3): 481–502.

Tompsett, S, Portera, JS and PD, Taylor (2009) Taxonomy of the fouling cheilostome bryozoans Schizoporella unicornis (Johnston) and Schizoporella errata (Waters). Journal of Natural History, 43 (35–36): 2227–2243.                  (大谷)

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図1 個虫群

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図2 個虫の拡大

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図3 卵室の拡大



城ヶ崎個別調査

雨が上がりかけていたので、城ヶ崎に行ってきました。こんな日に来る人はいるのかな、と思っていたら、何と5名以上の会員が来ていました(写真1)。

潮はそれほど干かなかったのですが、かなり多くの種類が観察できました。ここでは、シラモ Gracilaria parvispora  (写真2)という海藻を紹介します。

本種は本来やや内湾的な環境に生育するのですが、潮間帯上部の小さなタイドプ-ル中に生育しているのが確認されました。近縁のオゴノリ Gracilaria vermiculophylla (写真3)と似ていますが、体がやや硬いこと、色が緑がかること、枝の基部が強くくびれることで区別できます。オゴノリは汽水域に生息する種ですが、城ヶ崎のタイドプールにも生育しており、淡水の流入が推測されます。実は大阪湾にはもう1種、阪南市の砂浜に生育する藻長2m以上になる暗紅色のものがあります。ツルシラモ Gracilaria chorda の可能性があるものの、嚢果を付けないため種名は確定していません。(有山)

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写真1.本日の城ヶ崎

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写真2.シラモ

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写真3.オゴノリ

 

6月13日(日)の城ヶ崎定点調査は個別調査に切り替えます

緊急事態宣言が6月20日まで延長されたことに伴い、4月の田倉崎、5月の長崎に引き続き、6月13日(日)の城ヶ崎の定点調査も個別調査に切り替えます。今年6月中旬から6月下旬までの間、個人的に城ヶ崎へ行く人がいれば、出現種を記録しておいてもらい、それらを集約して今年の城ヶ崎の定点調査のデータとします。データを取られましたら、石田までお送りください。集約させて頂きます。また、集約後に研究会全体でデータを共有します。

 

城ヶ崎の定点調査を個別調査に切り替えることは6月3日に研究会のメーリングリスト([okk 1345])でお知らせしています。もし会員の方でこのメールが届いていない方がおられましたら、博物館の石田までご連絡ください。

 

なお、田倉崎の個別調査は5月下旬で区切ります。データをお持ちの方は石田までお送りください。長崎海岸の個別調査は6月下旬までです。

 

(石田)