ホンダワラ類は気泡を持っているため、岩などの気質からはずれても流れ藻となって海面を漂い、長距離移動することがあります。以前このブログで、打ち上げられた5種のホンダワラ類を紹介しましたが、打ち上げホンダワラ - 大阪湾海岸生物研究会のブログ (hatenablog.com)、本日珍しいホンダワラを採集したので、報告します。
そのホンダワラの名前はエンドウモクSargassum yendoi Okamura & Yamada in Yamada, 1938といいます。採集場所はせんなん里海公園(ぴちぴちビーチ)です。打ち上げホンダワラ類は9割以上がヨレモクモドキSargassum yamamotoi Yoshida, 1983だったのですが、エンドウモクも1%ほど混ざっていました。今回採集し写真撮影した個体の全長は約75cmで、藻体の特徴としては以下が挙げられます。(1)付着器は盤状、(2)茎はとても短く3本の主枝に分かれる、(3)主枝は扁平で屈曲しない、(4)枝分かれは平面的(特に先端部分)、(5)葉は長く(最長10cm以上)中肋と鋸歯を持つ、(6)気泡は大型で(最大直径10mm)円頭。
私は大阪湾で初めて見ましたが、以前、紀伊半島や日本海沿岸中部の、波当たりの強い岩礁の潮下帯上部で何度か見たことがあります。博物館の収蔵資料目録第20集によれば、和歌山県では有田市以南から採集されており、ネット情報ですが淡路島阿万や徳島県海部郡からも確認されていることから、先日の時化時に本来の生息地から剥がれて流されてきたものと考えられます。
それでは皆様、よいお年を。(有山)
(12月29日追記)
エンドウモクは当研究会の定点調査での記録がありました(記憶に残っていませんでした)。2003年6月1日の豊国崎です。03-06-001.pdf (omnh.jp) おそらく打ち上げだと思います。(有山)