4月20日の戎崎定点調査で採集された霜降り模様のあるミミズハゼ類は、ほとんどの個体がオオミミズハゼLuciogobius grandisと同定されました。霜降りなのでシモフリミミズハゼL. sp. かもしれないと喜びましたが、ぬか喜びでした。オオミミズハゼの斑紋は個体差が大きく、斑紋が目立たない個体から水玉模様のような個体までいるようです(写真1)。
オオミミズハゼとシモフリミミズハゼの識別点は、主に腹鰭基部の膜蓋の形状であり、オオミミズハゼでは窪むのに対し、シモフリミミズハゼではゆるやかに突出しているとされています(下記URL参照)。
https://www.fujimu100.jp/app/files/uploads/2019/04/Tokai-shizenshi12-05.pdf
ほとんどの個体の腹鰭の膜蓋は窪んでいたのですが、持ち帰った中で1個体のみ膜蓋が突出した個体がいました(写真2)。
ただし、この1個体は、膜蓋とその直前の皮膚との間に明瞭な溝があるなど、オオミミズハゼの特徴も同時に有しており、いずれの種であるのかは判断できませんでした。オオミミズハゼとシモフリミミズハゼは、本当に別種なのかという議論もあり、分類学的検討が必要です。(松井)