大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

戎崎のオオミミズハゼ類

4月20日の戎崎定点調査で採集された霜降り模様のあるミミズハゼ類は、ほとんどの個体がオオミミズハゼLuciogobius grandisと同定されました。霜降りなのでシモフリミミズハゼL. sp. かもしれないと喜びましたが、ぬか喜びでした。オオミミズハゼの斑紋は個体差が大きく、斑紋が目立たない個体から水玉模様のような個体までいるようです(写真1)。

f:id:osakawan:20190422172006j:plain

f:id:osakawan:20190422170621j:plain

写真1 オオミミズハゼ。斑紋の目立たない個体(上)と目立つ個体(下)


オオミミズハゼとシモフリミミズハゼの識別点は、主に腹鰭基部の膜蓋の形状であり、オオミミズハゼでは窪むのに対し、シモフリミミズハゼではゆるやかに突出しているとされています(下記URL参照)。

https://www.fujimu100.jp/app/files/uploads/2019/04/Tokai-shizenshi12-05.pdf

 

ほとんどの個体の腹鰭の膜蓋は窪んでいたのですが、持ち帰った中で1個体のみ膜蓋が突出した個体がいました(写真2)。

f:id:osakawan:20190531090229j:plain
f:id:osakawan:20190524161233j:plain
写真2 腹鰭基部の膜蓋が窪んだ個体(左)と突出した個体(右)

 

ただし、この1個体は、膜蓋とその直前の皮膚との間に明瞭な溝があるなど、オオミミズハゼの特徴も同時に有しており、いずれの種であるのかは判断できませんでした。オオミミズハゼとシモフリミミズハゼは、本当に別種なのかという議論もあり、分類学的検討が必要です。(松井)