戎崎の定点調査(2019年4月20日)でケガキに混じってオハグロガキ属の1種(Saccostrea sp.)が見つかりました。ケガキのように殻表に黒いパイプを備えた個体もみられますが、写真のように腹縁の立ち上がっているのが特徴です。殻の縁が波打っている点はオハグロガキを想わせます。(山西)
戎崎の定点調査(2019年4月20日)でケガキに混じってオハグロガキ属の1種(Saccostrea sp.)が見つかりました。ケガキのように殻表に黒いパイプを備えた個体もみられますが、写真のように腹縁の立ち上がっているのが特徴です。殻の縁が波打っている点はオハグロガキを想わせます。(山西)
アベミドリガイ Elysia abei Baba, 1955
戎崎定点調査で採集されたもので、持ち帰り同定したものです。この写真ではわかりにくいですが、橙赤色の細点が散在します(種の特徴)。粘液を出すため、検鏡時に付着したゴミをとるのに苦労しました。
(石田)
第3回の定点調査(長崎)を下記により実施します。皆様の参加をお待ちしております。
実施日:5月18日(土)
調査地:岬町 長崎海岸
集合:午前10時、南海本線みさき公園駅、公園側の改札を出た所。難波9:10発特急サザンに乗るとみさき公園9:57着。みさき公園駅から現地まで徒歩約20分。
干潮: 12時23分、15cm
解散:午後3時ごろ、現地で
持ち物:観察・採集用具(ルーペ、野帳など)、弁当、軍手、タオル。
申込:事前の申込みは不要です。
参加対象:本会会員と同伴者
その他:今回の定点調査は大阪市立自然史博物館の観察会「海べのしぜん(5/19実施)」の補助スタッフ研修を兼ねますので、雨天決行です。そのため、ブログによる当日朝の案内もしませんのでご了承ください。
※大阪湾海岸生物研究会の会員登録は随時できます。本会のウェブサイトをご覧ください。
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/iso/okk/index.html
※定点調査については同じサイトの定点調査のページをご覧ください。
カイメン類
Mycale nullarosette 和名なし
花岡さんが見つけてくれました。緑色の饅頭型をしたカイメンで、触るととても柔らかく弾力があります。
OKKメーリングリストでも紹介しましたが、この種の詳細については以下のページをご参照ください。
Mycale (Carmia) nullarosette | Porifera
写真 Mycale nullarosette
ホヤ類
1.Sydneioides japonense 和名なし
共同外皮の中に個虫が配列する群体性ホヤの仲間です。共同外皮の表層に多数の砂粒を埋蔵するため砂粒で被われた印象があります(写真1)。個虫は胸部と腹部そして後腹部の三部で出来ていますが腹部と後腹部の間が狭まっています(写真2)。これはSydneioides属の特徴のひとつです。この種の特徴としては、鰓孔列が11~13あること、下から数えて5~6列目の鰓孔列のところに肛門が開くことなどをあげることが出来ます。
写真1 群体外観 写真2 個虫
2. シモフリボヤ Aplidium yamazii
共同外皮の中に個虫が不規則に並ぶ群体性ホヤの仲間です(写真1)。共同外皮は柔らかく(豊国崎で出現したサガミシモフリボヤより柔らかな印象です)透明で、異物を付着しません。個虫は胸部と腹部そして後腹部の三部で出来ています(写真2)。この属の腹部と後腹部の間は前種のように狭まることはありません。この種の特徴は、円筒状に突き出た出水口のところに舌状突起がないこと(写真2)、胃の縦褶が10くらいであること、鰓孔列が5列であることなどです。
写真1 群体外観 写真2 個虫(スケールは1mm)
3. ミハエルボヤ Pyura sacciformis
山西さんが採集された大型のホヤです。前に掲げた二種のような群体性のホヤではなく、単体性のホヤです(写真1)。赤紫色をしています。写真1ではわかりにくいですが、入水口や出水口の周りには指状の突起が複数あってこの種の特徴のひとつとなっています。この他の特徴として、鰓や筋膜体など体の各所に多数の角質骨片(写真2)を含むことをあげることが出来ます。角質骨片は個体によって含まれる場所が異なりますが、この個体では内柱の部分にたくさんありました。
写真1 外観 写真2 角質骨片
(大谷)
MLでお伝えしていた山西さん採集のワラジムシの種名がわかりましたので、報告します。シロハマワラジムシ Armadilloniscus albus Nunomura, 1984 です(写真1)。何とタイプ産地は岬町の砂利海岸だそうです。
写真1. シロハマワラジムシ(スケール:1 mm)
ヨコエビの1種のドロソコエビですが、淡水が流入する潮間帯中部の転石下にはオオサカドロソコエビ Grandidierella osakaensis Ariyama, 1996(写真2)、潮間帯下部の転石下にはアカヒゲドロソコエビ G. rubroantennata Ariyama and Taru, 2017(写真3)が生息していました。少ししか離れていないのに別種が棲んでいるのは、とても興味深い現象ですね。(有山)
写真2.オオサカドロソコエビ♂(スケール:1 mm)
写真3.アカヒゲドロソコエビ♂(スケール:1 mm)
本日の定点調査(戎崎)は予定通り実施します。
(石田)
4月7日の定点調査で持ち帰った種について報告します.
ヒモイカリナマコ Patinapta ooplax (von Marenzeller, 1882)
この仲間は,体の表面に船の錨のような骨片をもちます.
ヒモイカリナマコツマミガイ Hypermastus lacteus (A. Adams, 1864)
ヒモイカリナマコの体内に内部寄生する大きさ2mmぐらいの小さな巻貝です.
ユメウミウシ Notobryon wardi Odhner, 1936
同属のツメウミウシN. clavigerumに似ますが,触角鞘の前方にキール状の隆起が無い点,背面にある2対の葉状突起頂端部に爪状の小突起を持たない点等で見分けることができます.
(柏尾)