大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

打ち上げホンダワラ

 先日、ワカメを拾いにせんなん里海公園周辺を散歩しました。ワカメは冬の時化の後はよく打ちあがっており、私にとっては買うものでなく拾うものです。この日は残念ながらワカメはほとんど無かったのですが、ホンダワラ類が多く打ちあがっていました。調べたところ、5種が確認されたので、紹介します。

1. ヨレモクモドキ Sargassum yamamotoi

 最も多かったのがこの種です。他種と比べて大振りで、気泡は楕円体で冠葉があり、葉には鋸歯を備えます。ノコギリモク S. macrocarpum、トゲモク S. micracanthum やヨレモク S. siliquastrum と似ますが、本種は主枝が扁平で数cmごとに屈曲するので、区別できます。ヨレモクモドキは以前は大阪湾に生育していなかったのですが、1997年以降自生が確認され、分布を拡げています。 

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2. シダモク S. filicinum

 本種は、気胞が紡錘形で先端に葉と似た冠葉を付けるのが特徴です。葉は薄く、深い切れ込みがあります。

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3. アカモク S. horneri

 前種シダモクとよく似ていますが、葉の幅がやや狭く、気胞が円柱状である点が異なっています。

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4. タマハハキモク S. muticum

 丸い気泡を持つのが最大の特徴です。マメタワラ S. piluliferum もこのような気泡を持ちますが、葉がくさび形~長楕円形の本種に対し、糸状である点が異なっています。

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5. ホンダワラ S. fulvellum

 ホンダワラという名前のホンダワラ類ですが、大阪湾では稀で、水深3m以深のやや深場に生育します。本種の気泡も丸いですが、写真のように短い糸状の冠葉を持つこともあります。葉は薄く楕円形~披針形で、周囲に鋸歯を持ちます。

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 ホンダワラ類はよく似た種が多く、しかも生長段階で形が大きく変化するため、同定が難しいことがありますが、日頃から丁寧に観察し経験を積めば、区別できるようになります。(有山)