大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

田倉崎のカイメン

OKKメールに書きましたが、田倉崎で採集されたカイメンを紹介します。

Haliclona sasajimensis
カワナシカイメン科に属するこのカイメンは、ムラサキカイメンと同じ属に含まれますが、ムラサキカイメンとは色彩が異なるので区別は容易です。
形は不定形で大きさは写真の通りですが、厚さは1.5cm程度で柔らかく滑らかな感触です。大きさ1〜2mmくらいの出水孔がランダムに開いています。
このカイメンは、これまで広島県尾道市向島潮間帯から知られています。

骨片は桿状体(Oxeon)だけですが、太いものと細いもの2種からなるのがこの種の特徴のひとつです。

骨片の配列は太い桿状体が作る網目状構造になっていますが、桿状体1本づつが繋がる典型的な網目構造とは異なり、写真ではちょっとわかり難いですが、束になった複数本の桿状体が網目の一部を構成する場所もあって、そのような配列になることも分類の目安のひとつになっています。また、細い桿状体は網目構造を作らず、ランダムに分布します。(大谷)