5月8日に城ケ崎で見つかったコケムシ3種の紹介をします。
[コケムシ類]
1.カクグチコケムシ(Hippopodina feegensis)
淡橙色のコケムシで、個虫は長方形、長さは1mm、幅は500〜800㎛ほど。腹壁には微小な孔が並んでいます。虫室口はやや縦長で下から1/4くらいのところで左右からくびれ、ベル型になります。鳥の嘴のような三角状の鳥頭体が虫室口の前方にあります。この標本では左前方にしかありませんが、本来前方左右にあるとされています。
2.Bugula subglobosa (和名なし)
フサコケムシと同じ属のコケムシです。色はフサコケムシのように赤くはなく、淡黄色をしています。フサコケムシには鳥頭体は全くありませんが、この種には鳥の頭のような形をした鳥頭体が個虫の外縁後半部にあります。色彩はホソフサコケムシに似ていますが、個虫前端外縁や内縁にはホソフサコケムシにあるような棘がなく、内縁は丸味を帯びていること、鳥頭体がホソフサコケムシのように個虫の外縁前方ではなく後方にあることなどで見分けることができます。
3.Amphiblestrum sp.(和名なし)
個虫は丸味を帯びた下膨れの形をしていて大きな虫室口を持っています。この種の最大の特徴は卵室前方から棚状に延びて虫室口の約半分を覆う平たい突起があることでしょう。突起の両前側角または中央部には棘状の突き出しがあって、全体は顆粒で覆われています。また、大きな鳥頭体が個虫の前側角に近いところに一対または片方だけにあります。
これに似た種はありますが、その特徴は完全に一致しません。(大谷)