大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

田倉崎のコケムシやホヤなど

先日、結果の一部をお知らせしましたが、あと7種追加します。
海綿動物
1.ミサキケツボカイメン(Sycon misakiensis
 白い縦長の壺のような形のカイメンです(写真1)。桿状体骨片の束が飛び出し、棘だって見えます。カイメンを輪切りにして切り口を見ると写真2のように鞭毛室が分枝することなく胃腔から皮層付近まで延びています。これはSycon属の特徴のひとつです。





骨片は矢車状のもの(写真3)を多く含みますが、この他に二種類の桿状体を持つのがこの種の特徴です。桿状体のひとつは大型で湾曲しますが(写真4)、もうひとつの小型の方は細くて真っ直ぐです(写真5)。





外肛動物(コケムシ
1.ツノマタコケムシThalamoporella rozieri
 群体は白っぽい色彩で、起立して鹿の角のように分岐することが多いようですが、今回のものは薄く石の表面を覆っていました。顕微鏡で見ると個虫(矢印)は、虫室開口の後方、左右に一対の大きな孔を持っています。鳥頭体(矢印)は個虫と同じくらいの大きさがあります。





2.シロウスコケムシArthropoma cecilii
 群体は白っぽい色彩で、石の表面を薄く覆っていました。個虫は規則的に交互にならび、虫室開口は半円形です。この他に虫室開口下半中央に狭く深い湾入があること、虫室開口中央部の下に、狭いですが、孔がない部分(矢印)があることなどがこの種の特徴です。 




3.Escharoides sp.(E. longirostris?)
 オレンジ色のコケムシで、やや厚く石などの表面を覆います。虫室開口下縁中央部が長く突き出し、腹壁周縁に大きな孔列がある特徴があります。鳥頭体は大きく、虫室開口後縁の左右どちらか、ないし左右に存在します。




脊索動物
1.サガミシモフリボヤ(Aplidium sagamiense
 群体性のホヤですが、個虫の配列に規則性はありません。石の表面を覆っていました(写真)。同定には個虫の構造を観察する必要があります(写真)。個虫の写真をみると、出水孔のところに舌状突起があるのがわかります。写真ではよくわかりませんが、鰓孔列数や胃の縦褶数なども同定のポイントです。鰓孔列が6〜10列、胃の縦褶が10〜16本あるのがこの種の特徴です。




2.ウスイタボヤ(Botryllus schlosseri
これも群体性のホヤです。個虫は花びら状(星状とも言う)に並びます。花びらの中央に共同排出孔が開きます。同定にはやはり個虫の観察が必要です。鰓孔列が6〜10列あるのがこの種の特徴です。



軟体動物
1.チャツボ(Barleeia angustata
写真はありません。
(大谷)