大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

新たな外来フジツボ

今年の付着生物学会で、新たな外来フジツボについての発表がありました。フジツボの種名はPerforatus perforatusと言います。和名はまだありません。写真のようなフジツボです。一見オオアカフジツボのようにも見える色彩をしていますが、輻部の上縁が傾斜する(写真矢印)ことと、殻口が小さいところが違っています。
この他にも楯板裏側にある閉殻隆起(写真矢印)が楯板頂部から長く底部まで延び、こ
れと接するようにもう一本の短い隆起が走ること、背板の距(写真矢印)が細長く、背板頂部が嘴状に延びるなどの特徴を持っています。
このフジツボはこれまで、イギリス海峡から地中海を経て、西アフリカまでが分布域とされていました。ところが、2006年に韓国で発見され、外来種としての世界初記録となりました。
韓国ではその後、わずか2年の間に200kmも分布を広げたと言われています。日本では昨年、秋田沖で初めて見つかりました。それが付着生物学会の発表に繋がったわけですが、筆者もこの3月に青森の三沢漁港へ行った際、浮き桟橋に付着している本種を採集しました。写真の標本はその時のものです。この他にも岩手県東京湾に分布することも知られています。本種が分布可能な水温は9℃〜26.9℃と言われていますので、季節別水温の値が9.2℃〜26.0℃(大阪湾水質定点自動観測システム)の大阪湾でも生息可能なようです。見つかるかも知れませんね。(大谷 道夫)