大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

田倉崎観察会の補足

渡部です

田倉崎観察会の補足及び修正です.

ヤドカリ類について,
クロシマホンヤドカリとした個体は,その後の検鏡の結果もクロシマホンヤドカリ Pagurus nigrivittatus Komai, 2003 でした.定点調査では初記録のようです(写真1).


イクビホンヤドカリ?とした個体は,ユビナガホンヤドカリ Pagurus minutus Hess, 1865 と同定しました.ユビナガホンヤドカリは干潟にいる種という思い込みがあるため,かなり意外でしたが,だんだらの触角や,指節の長さ,鉗脚腕節の長さなど,ユビナガホンヤドカリの特徴を具えています.ただし,非常に小型であるにもかかわらず,成熟した特徴を具えている点,オスの色彩がはっきりしている点など,干潟で見る個体とは印象が異なります.歩脚の指節があまり長くないような気もしますので,違う種かも知れませんが,田倉崎では2001年にも記録があるようです(写真2).

つぎにカニ類ですが,有山さんから託された個体は,ヤワラガニ科のヤワラガニ Rhynchoplax messor Stimpson, 1858 と同定しました.額角のように見えるふたつの突起は触角で,実際の額角は斜め上方に向いています.定点調査では初記録のようです(写真3).