大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

田倉崎定点調査追加種(ワタクズダマシ)

少し時間が経ちましたが、田倉崎での定点調査(2014年6月15日)の追加種で、ワタクズダマシの写真です。


ワタクズダマシPseudomicippe nipponica (Sakai, 1937) は、現地で「ヨツハモガニ?それにしては色が変」と話していたものです。クモガニ科は海藻などを体にくっつける習性があり、そのための鉤毛が体表にありますが、ワタクズダマシの鉤毛は巻き毛のように見えます。近縁種にオカモトワタクズダマシP. okamotoi (Sakai, 1937)というのがいるようですが、ワタクズダマシの方は胸部腹甲の鉗脚付け根に溝があるのに対し、オカモトは平滑となっています(酒井, 1976:日本産蟹類)。田倉崎のオス個体ではこの溝が確認できました(上の写真の矢印)。メスも採集されましたが、おそらく同種とみてよいのではないかと思われます。もちろん、定点調査では初めて見つかった種です。

他におまけとして、現地で頂いたミドリアマモウミウシの写真がうまく撮れたので、掲載しておきます。

(石田)