大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

磯に出会いあり4   ベニタケ Terebra dimidiata
 秋になると海岸生物の活動は少なくなり、このブログもすっかり静かになります。磯乞食とも呼ばれる海岸を跳梁する者たちがいなくなるからです。なぜか?その理由は明白です。「秋は潮が悪い」のです。
 大潮の時、一日2回の干潮があるのは年中同じですが、1日2回の干潮時の潮の“高さ”は同じではありません。大阪湾やその南の太平洋に面した海岸は春から夏にかけて大潮の最干潮は昼頃に来ます。しかもよく引きます。だから大阪湾海岸生物研究会の活動日は春から夏に日程を組むのです。冬が近づくとこの最干潮が深夜にくるようになります。そして実は最もよく引く大潮の最干潮は春や夏ではなく真冬の真夜中なのです。と、ここまでが前振りです。ネット時代の今日、「気象庁 潮位表」で検索すれば、日本全国近未来の潮位がどうなるのか親切にも表になって示してあります。ちなみに今年はクリスマスの頃とってもよくひくことがわかっています。

 写真は巻貝のタケノコガイ科に属するベニタケの生体写真です。ベニタケは夜行性ですから昼間は這っている写真を撮ることはできません。といって、この写真は夜の海に潜って撮ったものでもありません。長い前振りからお分かりのように、この写真は深夜大潮の最干潮時に撮ったものです。この場所を案内してくれたA氏は「ベニタケなんか腐るほどいる」と言ってくれたのですが、深夜潮が引くのを待ってその場所を訪れると、ジュドウマクラやミガキタケなどが砂の上に姿を現し、あちこちで這っていたのでした。もちろんベニタケも!!
 A氏との約束でその場所を明かすことはできませんが、時間を選んでその場所を訪れれば必ずベニタケに会える場所がこの日本の中にあるということは素晴らしいと私は思うんです。