大阪湾海岸生物研究会のブログ

大阪湾海岸生物研究会の活動(定点調査や勉強会)の案内や記録のほか、大阪湾を中心とする海の生き物について書きます。

友ヶ島のギョウジャヒラタウミセミ

等脚目 Isopoda はヨコエビなどの端脚目 Amphipoda とともにフクロエビ上目 Peracarida に属する小型甲殻類で、当研究会の調査定点でもフナムシLigia spp. やシリケンウミセミ Dynoides dentisinus などが観察されます。転石の裏側からは極端に扁平な等脚目3種が出現し、以前のブログでも紹介しました。

ヒラタウミセミとハバヒロコツブムシ - 大阪湾海岸生物研究会のブログ

豊国崎のヨロイコツブムシ - 大阪湾海岸生物研究会のブログ

本研究会は2023年4月9日に友ヶ島の孝助松海岸(図1)で臨時調査を行いましたが、その時に採集された等脚目が、この度、広島大学の野田あかりさんらによって新種記載されたので報告します。

学名は Leptosphaeroma gyoja、和名はギョウジャヒラタウミセミといい、友ヶ島にある葛城修験の行所を開いた役行者(えんのぎょうじゃ)に因みます。 

オスの写真を図2に示します。体長は最大3.3mmと小さく、メスはさらに小型です。上記3種と同じく扁平ですが、腹尾節の後端が筒状となり上方に突出しています。普通のヒラタウミセミ L. gottschei とはプロポーションや体縁辺の剛毛の少ないことなどが異なっています。

孝助松海岸は友ヶ島の南岸に位置し、紀伊水道に面しているため波当たりが強く、本種はこのような環境を好むものと考えられます。なお、島の北岸(大阪湾側)には普通のヒラタウミセミが生息しており、棲み分けているようです。(有山)

文献

Noda, A., Ariyama, H. & Tomikawa, K. (2025) A new species of the genus Leptosphaeroma (Crustacea: Isopoda: Sphaeromatidae) from Japan. Journal of Natural History, 59, 227-240. 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00222933.2024.2440141

図1.孝助松海岸(2023.8.1撮影)

図2.ギョウジャヒラタウミセミ(オス)